2014年6月3日

「国土利用再編」とはなにか

みなさん、こんにちわ。NPO法人国土利用再編研究所にて副理事長を務めております齋藤晋です。

「国土利用再編」から連想されるもの
さて、このNPOの名前にも含まれている「国土利用再編」という言葉、なんとも堅苦しいと感じてしまう人も多いかと思います。堅い柔らかい以前に「どういうことなのかイメージできない」という方も多くいそうです。なかには「不動産関係の話?」とか「国防とかの話?」などと思われる方もいるかも知れません(もちろん無関係ではありませんが)。少し詳しい方ですと、かつて経済企画庁(後年は国土交通省)が掲げた「全国総合開発計画」*1 などを思い出して、「古くさい話なのではないか」といぶかしがるかも知れません。

「国土利用再編」とはなにか
「国土利用再編」とは何でしょう。私は「国土利用再編」とは、日本国内において、居住のしかた、食糧・資源・エネルギーなどの獲得のしかた、様々なサービスの供給と需要のしかた、移動や物流のしかたを、少しずつでも変えていくことだと考えています。

「国土利用再編」によってめざすふたつのかたち
では、どのようなかたちをめざして変えていけばいいのか。まずひとつは、今後予想される人口構成*2 でも持続的に生活できるようなかたちに変えていく。もうひとつは、何か大きな社会的・自然的変化が発生してもそれにうまく対応できるように、選択肢をできるだけ多く未来に残せるようなかたちに変えていく。このふたつのかたちをめざしていくことが大事ではないかと、私は考えています。

わかりやすい例をひとつあげてみましょう。例えば、過疎化が著しい地域があったとします。過疎化を食い止めるために多額のお金を投入して高度なインフラの充実を図ったとします。もしかしたらそれによって過疎化が食い止められ、これまでの生活が持続できるようになるかもしれません。上述の「めざすかたちその1」は実現できたといえそうです。

しかし、過疎化が著しい地域は日本にごまんとあります。このような対策を過疎地域すべてに実施するためには、未来からの借金(公債)も必要になるでしょう。そして未来のある日、なにか大きな変化が発生したときに、それに対応しようにも、大きな借金があるばかりで、よさそうな選択肢が選べない(あるいはその大きな借金自体が大きな社会的変化となって苦渋の選択をせまってくるかもしれません)…上述の「めざすかたちその2」は果たせない、というわけです。

「国土利用再編」のプロセスにも注目を
それから、変えていくためのプロセスの設計も重要な話です。正直な話をすれば、私もたまにはあの有名なシミュレーションゲーム『シムシティ』*3 のように、なにもない土地に自分の理想とするような街を作りたい、そんな欲求が心に浮かぶことはあります。でもそれは子どもっぽい夢想でしかありません。この日本で「国土利用再編」を考えるためには、住民の合意や民主的な手続きが不可欠です。さらには再編を阻むような仕組みを見つけ出して改善を図ることも必要です。

「国土利用再編」の流れがスムーズになるように様々な仕組みの工夫を図りつつ、実際の現場では丁寧に対応する…このバランスを大事にするべきでしょう。

「国土利用再編」はみんなが主役
そして、「国土利用再編」を実行するのは誰でしょうか。「国土」という言葉のイメージから、「再編するのは国や自治体や政治家の仕事でしょ」と思われるかも知れません。しかしそれは違います。「国土利用再編」とは、住民(都市・農山漁村にかかわらず)や各分野の研究者、行政担当者など様々な人たちが、自分たちにとって、そして自分たちの子孫にとって、持続的かつ変化に強い国土にするために、当事者意識をもって、何を守るべきか、何を手放すべきか考えて、実行していくことだと、私は思っています。

このブログで今後発信予定の内容
これからこのブログでは、「国土利用再編」にまつわる話をいろいろと発信していこうと思っています。私自身は、現在、集落移転*4 と里山鍼灸師*5 に関する研究に取り組んでいますので、このあたりの話を中心にお話していけたらよいかな、と現時点では考えています。また世の中で話題になっている将来予測や政策に対しての意見も折りに触れて書いていきたいと思います。それではよろしくお願いします。

【脚注・参考文献】
*1 例えば、本間義人(1999):『国土計画を考える 開発路線のゆくえ』, 中公新書.
*2 人数だけでなく、性別や年齢層などの人口構造にも注目すべきです。
*3 シムシティ公式サイト http://www.simcity.com/ja_JP
*4 林直樹・齋藤晋編著(2010):『撤退の農村計画』, 学芸出版社.p.77-102.
*5 中根一・川嶋総大(2012):『現代版里山鍼灸(しんきゅう)師制度の確立に向けて』, 撤退の農村計画メモランダム. http://tettai.jp/info/isrr_m12002.php

シェア
LINEで送る
Pocket

投稿日時
2014年6月03日 11:51
カテゴリ
論説
キーワード
, , ,

関連記事

ページトップへ戻る